++文章修行家さんに40の短文描写お題++

 00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

 01. 告白
 02. 
 03. 卒業
 04. 
 05. 学ぶ
 06. 電車
 07. ペット
 08. 
 09. おとな
 10. 食事
 11. 
 12. 
 13. 女と女
 14. 手紙
 15. 信仰
 16. 遊び
 17. 初体験
 18. 仕事
 19. 化粧
 20. 怒り
 21. 神秘
 22. 
 23. 彼と彼女
 24. 悲しみ
 25. 
 26. 
 27. 芝居
 28. 
 29. 感謝
 30. イベント
 31. やわらかさ
 32. 痛み
 33. 好き
 34. 今昔(いまむかし)
 35. 渇き
 36. 浪漫
 37. 季節
 38. 別れ
 39. 
 40. 贈り物


≫ 配布元:文章修行家さんに40の短文描写お題






 00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

  沙霧です。サイト名は風色即興曲。未熟者ですが、頑張ります。


 01. 告白  【65文字】

  どれだけ上手に言い訳を重ねても、二度と元には戻れないけれど。
  罪人のような気持ちになりながら、それでもきっとやり直せると信じていた。


 02.   【63文字】

  耳元で囁く言葉も闇の中の甘い情事も、一時のささやかな夢も熱も愛もぬくもりも。
  それらは全て、生きていく為にのみ必要とされるもの。


 03. 卒業  【65文字】

  門を出た後は決して振り返らずに、真っ直ぐに前へ向かってただ歩く。
  彼からの別れの餞別は、解読不能な記号が並んだ、たった一枚の紙切れ。


 04.   【65文字】

  いくつもの線が引かれた皺だらけの地図には、やわらかな文字が記されている。
  様々な人々の思いを刻み込んだそれは、祖父と父の人生の足跡。


 05. 学ぶ  【65文字】

  他者を騙し、自分を偽る術と、一人きりで生きていく為の術。
  本当に大切なものは教えてくれないまま、あの日あなたはわたしの前から消えた。


 06. 電車  【65文字】

  瞼を破り、目に突き刺さる夕日の赤に、乗り過ごした事を自覚する。
  進むべきか引き返すべきか、急ぎ足で駆けて行く空を見ながらふと考える。


 07. ペット  【65文字】

  どんなに冷たい言葉をぶつけても、どんなに傷つけようとしても、
  何の見返りも求めず擦り寄るそのけなげな姿に、いつかの自分の姿を重ねる。


 08.   【65文字】

  火のついていない煙草を、これでもかというくらいに噛み締めた。
  隠れた手札の下には死神が眠っていると、そう確信せずにはいられなかった。


 09. おとな  【65文字】

  太陽さえも隠してしまいそうな大きな手がぬっと伸びてくる。掻き回される頭と、低く大きな笑い声。
  小麦色に焼けた肌から、土の匂いがした。


 10. 食事  【65文字】

  両手で抱えられる程の陶の器に盛り付けられているそれの、食欲を煽るには十分な匂い。
  炊き立ての白米があれば、もはや言う事はないだろう。


 11.   【65文字】

  放課後に繰り広げられる束の間の逢瀬。めぐりあう背表紙を指でなぞる。
  名探偵に騎士に海賊、異国の商人に白馬の王子。毎日変わる私の恋人。


 12.   【65文字】

  思い描いていたはずの未来が、目の前で手を振っている。
  伸ばした手が風を抱くのと同時に、鼓膜に叩きつけられた現実の鐘の音で飛び起きた。


 13. 女と女  【65文字】

  甲高い声が当たり構わず突き刺さる。何かが割れ始めるのもきっとすぐだろう。
  男達は互いに顔を見合わせると、逃げるようにその場を後にした。


 14. 手紙  【65文字】

  色褪せた押し花が貼られたそれに記された丁寧な文字。畳んで封筒に入れる。
  過去の自分が流した涙が滲んだそれを、焚き火の中に投げ捨てた。


 15. 信仰  【65文字】

  神を殺してわたしも死ぬ。神は殺せないからわたしは死ねない。
  神は、わたしに生きる事を強いた。自らを殺す為に、わたしに生きろと言った。


 16. 遊び  【63文字】

  分厚いカーテンの隙間から細く差し込む白く冷たい月光を浴びながら、
  軋むベッドの上で、ただひたすらに、あなたがもたらす熱に溺れる。


 17. 初体験  【64文字】

  強気な彼女が、僕の前で本当の姿を曝け出した闇の中。
  光の下では決して聞けないその声に酔いしれて、与えられた役目も忘れて彼女を貪る。


 18. 仕事  【65文字】

  壁に隠れて息を詰め、目を凝らしてじっと一点を見つめる。
  頭の中に叩き込んだその人が通りの向こうに姿を見せたら、後は引き金を引くだけ。


 19. 化粧  【65文字】

  鏡の前に立ち、向かい合う自分にありのままの笑顔を向ける。
  そうして忙しなく動き出す手。朝のわずかなひと時の、少女が『女』になる儀式。


 20. 怒り  【65文字】

  細い糸が切れる音を聞いた様な気がする。その後に感じたのは、頬に走る鈍い痛み。
  毎日顔を合わせているはずの、知らない男がそこにいた。


 21. 神秘  【62文字】

  夜空に散らばる無限の星。その間を滑っていくもの、ひとつ、ふたつ。
  一瞬の命の輝きに、僕は願い事を思い浮かべる事さえ忘れていた。


 22.   【65文字】

  付き合ってもいないのに、付き合っている事になっていた。特に否定もしなかった。
  時が流れて、彼から贈られた指輪をあるべき位置に嵌める。


 23. 彼と彼女  【65文字】

  彼女は彼を殺すと言った。彼は彼女を殺すと言った。
  二人は互いの信念の元に戦い、そして一緒に死んだ。
  決して許されぬ愛の果ての一つの話。


 24. 悲しみ  【61文字】

  純白の花嫁の葬列を送るように、針のように細い雨が朝からずっと降り続いた。
  牢屋に入った花婿の代わりに、灰色の空が泣いていた。


 25.   【65文字】

  張り詰めていた空気を引き裂く、力強い泣き声。それと同時に場を満たす安堵の息。
  取り上げられた小さな命が、自身の存在を力一杯主張する。


 26.   【64文字】

  彼女が本当に幸せだったのか、それは誰にもわからない。
  けれど穏やかな笑みを浮かべたその横顔に、その場にいた誰もが黙って頭を垂れた。


 27. 芝居  【65文字】

  街角に佇むピエロの、笑みと涙を貼り付けた仮面。
  笑っているの? 泣いているの?
  答えは誰にもわからない。もちろん、ピエロにもわからない。


 28.    【63文字】

  彼女が味わっている苦しみを共有出来たら、どんなに良かっただろう。
  もしも半分分け合えたなら、彼女は死ななかったかもしれないのに。


 29. 感謝   【63文字】

  その時、僕はどんな言葉で表現すれば良いのかわからなかった。
  だから、今の気持ちを声に出して伝える代わりに、彼女を強く抱き締めた。


 30. イベント  【63文字】

  遠く輝く花火の色。近くで爆ぜる太鼓の音。どこまでも途切れない人の声。
  悲しい事も辛い事も、何もかも呑み込んでしまう束の間の余興。


 31. やわらかさ  【58文字】

  何の疑いも持たずに、顔を綻ばせて彼女は笑い、こちらへと手を差し伸べる。
  触れてしまったら壊れてしまいそうだと、思った。


 32. 痛み  【63文字】

  仕舞い込んでいたはずの最後の言葉を君に告げた。それは全てを終わらせる為の言葉だ。
  君は俺が予想した通りの顔で、俺を見上げていた。


 33. 好き  【65文字】

  手を伸ばして頬に触れ、じっと見つめて目を閉じる。そっと屈んでキスをする。
  くすぐったそうにはにかむ君に、さらにもうひとつキスをする。


 34. 今昔(いまむかし)  【61文字】

  あの頃は一度に二段飛ばすのが精一杯だった、全部で五十段の石段。
  今では三段も四段も飛ばせる、あの頃よりも少し小さくなった石段。


 35. 渇き  【62文字】

  それは蜘蛛の糸のような白昼夢。決して逃げられない本能的な衝動。
  貴女の微笑みを見るだけで、僕はどうしようもない眩暈に襲われる。


 36. 浪漫  【64文字】

  庭の片隅に埋もれていたタイムカプセル。中から出てくる、色褪せた数々の玩具。
  今となっては他愛もないそれらは、どれも幼い時の勲章だ。


 37. 季節  【64文字】

  雪が溶けて花が咲く。花が散って葉に覆われる。
  緑の葉が赤く色づき、それらが枯れたら雪が降る。
  風の匂いの中に、移り変わる時を感じる。


 38. 別れ  【65文字】

  どんなに美しく完成されたものでも、壊れてしまうのは容易い。
  君の背中に声を掛けても、君は決して振り返る事無く空に消えた。
  しゃぼん玉。


 39.   【56文字】

  魂を繋ぎとめるもの。心を満たし、寂しさを埋めるもの。
  この広い世界にたった一人の、私に相応しいあなたはどこにいる?


 40. 贈り物  【62文字】

  白い紙と赤いリボンで丁寧に包まれたそれを、丁寧に解いていく。
  やがて中から現われたそれ。驚く私に、貴方は心底楽しそうに笑った。


20040509
20050316 一部修正


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