第一話 橄欄石星の欠片
その日、彼が薫香茶房の扉を潜ったのは、まったくの偶然に過ぎなかった。

第二話 真珠姫
薫香茶房の男主人は、世にも珍しい、あるいは懐古的な物を好むことで有名である。

第三話 螺子仕掛けの自鳴琴
瑛藍はその音の調べに、感嘆の息をつくばかりであった。

第四話 華の香の知らせ
それは、虫の知らせに似ている。

第五話 蛍火流し
星を見送れば、この蓮砂国にも本格的な夏がやってくる。

第六話 千鶴舞夜
「この鶴はね、おまじないをこめた鶴なのよ」

第七話 反魂香
「――女房が死んで、奴は気が触れちまったんよ」

第八話 花の書架迷宮
瑛藍と珱里は月に一度、“仕事”で蓮砂宮に訪れる。

挿話 夢路の涯てに遠くて近い、何時か何処かで紡がれた話
或る日或る時或る場所で、と或る夢を見ていた誰かの噺。(三万+一打記念)

第九話 白天山での休日
「珱里、一つ賭けをしようか」

第十話 想い結び、咲く花に寄せて
薫香茶房にその日、真紅に染まった薔薇の花束が届けられた。

挿話 月追行路
満ちた月の面を駆ける、その影は。(六万打記念)

第十一話 誰ソ彼
いつもと変わらない、とある真夏の夜の出来事。

第十二話 夢一夜
例えば、この気持ちに名を与えるとしたら。

第十三話 初夢語り
“空”に焦がれた青年の、“始まりの話”。

第十四話 泡沫散想
歌姫と青年が身を投げた。ただ、それだけの話。

第十五話 幸願う紡ぎ歌
「あのね、珱里さん。――あたし、夢があるんです」